父の年賀状の有名人

  • 2017.11.22 Wednesday
  • 19:27
 昭和413月に京都府立須知高等学校を卒業する18才まで丹波の田舎町で育ったので、身近に有名人などいるはずもなかった。

 唯一の有名人といえば、小学校の教員をしていた父の元に毎年届く年賀状の童謡作家巽聖歌であった。

 明治38年に岩手県紫波郡日詰町(現紫波町)に生まれた巽聖歌は昭和30年当時、50代で東京都日野市に住んでおり、田舎の小学校低学年生には年賀状の「東京都」の住所が遠い異国のようにまぶしかったのかもしれない。もちろん巽聖歌が童謡「たきび」の作者であることは知っていた。

 

「たきび」 巽聖歌作詞・渡辺茂作曲

 

かきねの かきねの まがりかど

たきびだ たきびだ おちばたき

「あたろうか」「あたろうよ」

きたかぜぴいぷう ふいている

 

さざんか さざんか さいたみち

たきびだ たきびだ おちばたき

「あたろうか」「あたろうよ」

しもやけ おててが もうかゆい

 

東京・豊島区在住の鈴木三重吉が創刊した童謡雑誌『赤い鳥』に戦前発表されたこの歌は、戦後の昭和24年にNHKのラジオ番組「うたのおばさん」で松田トシや安西愛子が歌い、大衆に広まった。昭和27年からは小学1年生の音楽の教科書も掲載されるようになったが、消防庁から「街角のたきびは危険」であるとの批判があり、教科書に掲載する際にはたきびと人物だけでなく、火消し用の水の入ったバケツが描かれるようになったという。

 毎年北風が吹くこの季節になるとこの歌を思い出すが、確かに都会ではもうたきびは見られない日本の風景の一つであろう。

 平成19年には日本の歌百選にも選ばれている。

 父はすでに亡くなっており、巽聖歌とどのような親交があったのかは不明のままである。

 

写真はウィキペディアより『赤い鳥』創刊号表紙


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