スポンサーサイト

  • 2022.04.22 Friday

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 0
    • -
    • -
    • -

    本質を議論しない野党と一部メディアの「加計学園」批判

    • 2017.06.27 Tuesday
    • 13:48

     学校法人「加計学園」の愛媛県の今治市への獣医学部新設計画を巡り、民進党など野党や一部メディアの安倍政権批判が続いているが、テレビのワイドショーレベルの「総理のご意向」という文書の有無ばかりが追求され、問題の本質であるはずの国家戦略特区制度に関する議論は置き去りにされている。

     そもそも、「加計学園」による獣医学部新設は、政治主導で規制改革を実行する強い意欲を示した安倍首相が議長を務める「国家戦略特区諮問会議」が、認定した10の特区で、医療や福祉、雇用、農業等の分野で認定された計242の事業のうちの一つにすぎない。

     問題があるとするなら52年ぶりとなる「加計学園」の獣医学部新設に社会的ニーズがあったか、なかったかであろう。

     そのことについては、加戸守行前愛媛県知事が616日付の産経新聞のインタビューに答えて、「平成22年に宮崎県で口蹄疫が発生した際には、愛媛県の港に検疫態勢を取り、入県する車と人は全部消毒し、四国への上陸を阻止した。全員が不眠不休でやったが、獣医師が足りないから(民間の)ペットの獣医師まで動員して助けてもらった。あのときほど獣医師が欲しかったことはなかった」と雄弁に語っているように、四国に獣医学部はなく、愛媛県のみならず平成21年に四国4県の知事が連名で四国に獣医学部が欲しいと請願していることでも社会的ニーズがあることは充分に納得できる。

     ところで今回、この問題が本質の論議を大きくはずれ、テレビのワイドショー化した背景には、525日に文部科学省の前川喜平前事務次官が行った「総理のご意向」で「行政がゆがめられた」とする記者会見とその後の文科省職員が作成したメモの影響が大きい。

     小泉内閣で大臣秘書官を務めた元官僚で、改革の現場に詳しい岸博幸慶大大学院教授は「特区を活用した加計学園の獣医学部新設に問題があるのであれば、国家戦略特区諮問会議やワーキンググループで異議を唱えればいい話だった。でも現実に止められなかったのは、文科省には説得材料が無かったからだ。こんなことで行政がゆがめられたというならば、政治主導は全て行政をゆがめることになる」(613日付産経新聞)と前川前事務次官の発言を否定し、文科省で元上司であった加戸前愛媛県知事も「役人をやっていると、無理無体はある。(略)無理無体であっても、政治が優位であって行政は下な人ですよ。大臣の下に事務屋がいる。どんな無理な事でも、大臣がいうべきことは従うべきだ。(略)行政の筋が曲げられたと思っても言いませんでした。それが役人の矜持です」(616日付産経新聞)という。

     それはさておき、5年前の民主党(現民進党)の野田内閣で田中真紀子文部科学大臣は、まさに「政治主導」で翌春に新規開校を予定していた大学3校の不認可を、おそらくは文部官僚の入れ知恵で「大学が多すぎて質が低下している」と示唆したものの、結局、文科省は認可するという失態を演じている。

     追求する野党・民進党は、まるで文科省の出先機関の様相を呈している。

     かつて、明治時代の自由民権運動の憲法制定論義の高まりの中で、君主大権を残すビスマルク憲法を主張した伊藤博文や井上馨が、イギリス型の議院内閣制の憲法を主張した大隈重信らを政府から追放した「明治14年(1881年)の政変」で、下野した大隈が立憲改進党を結党し、早稲田大学の前身である東京専門学校を開校したおり、官学中心主義をとる政府は、これを改進党系の学校であるとみなして様々な妨害や圧迫を加え、存続の危機に陥るのである。 

     歴史をひもとくまでもなく、一国の総理大臣が私立大学の学部の1つや2つ認可できずして、どうして国民の生命・財産を守ることができるであろうか。