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- 2022.04.22 Friday
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小峰隆夫大正大学教授は9月19日付の日本経済新聞の「経済教室」というコラムで今回の長期景気拡大を巡り、多くの人が抱く「長期景気拡大にアベノミクスはどの程度寄与しているのか」「景気拡大が長い割には実感が得られないのはなぜか」「この長期拡大はいつまで続くのか」という3つの疑問を考察している。
小峰教授は現在進行中の長期の景気拡大を3つの期間に分けて考えた方がいいという。第1期は12年2月から14年3月までの順調な拡大期でアベノミクスの効果が顕著に表われ、日本経済の沈滞ムードが一新された時期。異次元金融緩和は円安を通じて企業収益を改善させ、物価上昇率を引き上げた。また、公共投資の拡大は成長率を高め、消費税増税を控えた駆け込み需要が加わり、予想を上回る景気拡大が実現したという。
第2期は異次元緩和の円安効果がストップし、公共投資も14年度以降はマイナスとなり、駆け込み需要の反動と消費税の増税による家計実質所得の減少が加わり、経済が減速した。
16年夏以降から現在までの第3期は輸出が大幅に増加し、景気を再浮揚させた。
以上のことから小峰教授は、第一の疑問であるアベノミクスは第1期については景気を好転させたが、第2期には効果が薄れ、第3期は輸出主導型であり、アベノミクスの成果と言うのには無理があると分析する。
問題は景気拡大の割に実感が得られないという第二の疑問である。小峰教授は第2期の経済減速と、景気変動に一致して動く9つの経済指標を一つに合成したCI(コンポージット・インデックス)の上昇幅がバブル期や02年からの景気拡大期の半分から3分の1に過ぎず、経済活動のレベルアップの度合いが小さいのだから景気拡大の実感が得られないのは当然だという。
そして、第三の疑問である今後の景気拡大の持続については、世界経済が安定的に推移し、日本の輸出が損なわなければ、企業収益の増大→設備投資の増大→雇用情勢の改善・賃金上昇→個人消費の増大という形で自律的な景気上昇が期待できると予測する。
年間3,000万人と言われる訪日観光客の増加(インバウンド)が国内消費を下支えしているとは言うものの、やはり日本経済の屋台骨を与えているのは輸出ということなのかとつくづく考えさせられる小峰教授の分析である。
写真:9月19日付の日本経済新聞のコラム「経済教室」掲載のグラフ