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- 2022.04.22 Friday
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3月19日付日本経済新聞のコラム「経営の視点」の渋谷高弘編集委員の解説によれば、中国が自国市場および中国が進める広域経済構想「一帯一路」の沿線国を舞台に、日米欧をしのぐ「知財強国」への道をひた走っているという。
かつて首位だった日本を置き去りにして2016年の中国の特許出願件数は通信関連など133万件で世界シェアの4割を超え堂々の首位で「特許出願大国」となっている。ちなみに日本は31万件である。また各種の知財訴訟に至っては年間13万件で、日本は約5,000件で比較にならないという。
以前、中国の新幹線が開業した時、山東省青島から済南間に乗車し、車輛があまりに日本の新幹線と酷似しているのに驚かされたものだが、これなども肝心の新幹線に関する特許を製造元の川崎重工業が海外で出願しておらず、技術移転先の中国の新幹線メーカーがそっくり模倣したものであった。
そして、「知財」は工業製品に限らない。
政府は「2019年に農産物の輸出額1兆円」の目標を掲げてきたにもかかわらず、17年の輸出額は約8,000億円にとどまるもようである。
背景には、欧米の大手流通業が、「食の安全」を求める世界の消費者ニーズに対応して、肥料や農薬の管理から労働環境まで細かく規定する農産品の国際認証「グローバルGAP」の取得を農業者に要求し、世界ではすでに約18万の農業者が取得しているにもかかわらず、日本ではまだ約400件にとどまっていることもあるが、農産品の「知財管理」も大きな原因だ。
例えば、韓国や中国は日本で開発されたブドウ「シャインマスカット」やイチゴ「とちおとめ」などを無断で栽培・交配してアジア各国に輸出しているが、種苗に特許を与える品種登録を海外でしていないため、栽培を差し止めるのは難しいのが実態であるという。
農水省は韓国が日本のイチゴを無断で栽培・交配したことで最大220億円の輸出機会の損失があったと推計している。(2月9日付日本経済新聞)
国内市場が縮小するなか、人口増や経済成長が続く海外に活路を開かなければ、日本の成長はないが「知財」はまさに生命線である。